宮部みゆき『ソロモンの偽証』

小学校の低学年くらいの子どもとの会話がどんな感じかといえば、語彙はそれなりに豊富になってきているけど、筋道だった説明をするなんてことは難しくて、顔の擦り傷について質問していたら、いつのまにか妖怪ウォッチの話になっていたりする。でもそれは、思いを言葉にすることに慣れていないというだけで、何かを感じたり、考えることの量が少ないというわけじゃない。そんな意識の仕方は、普段の日常──宿題やったのかだのなんだの──に埋没しているけど、ふと見せる表情を切っ掛けにして、よく思い出す。ああ、まだまだこいつらガキだけど、ちゃんとニンゲンしてるよな。みたいな感じで。

宮部みゆきの『ソロモンの偽証』を読み始めて、まず感じるのもこれだろう。冒頭のエピグラフがすべてを物語っている。

子供って何にも知らない。だけど子供はほんとは何でも知っているんだ、知りすぎるくらい。──フィリップ・K・ディック「まだ人間じゃない」

こどもをなめちゃいけない。こいつら、驚くほどいろいろ考えてるよ。うまく話せなかったり、視線が低かったりするけど、たとえ沈黙しているからって、何も感じてないわけじゃないんだ。そんな感じで宮部ワールド全開のミステリーが展開されたら、お父さんの心は鷲掴みにされっぱなし、明日の新幹線が早かろうがなんだろうが、とにかく一冊読み終えるまではベッドに入れないのも仕方がない。

文庫のほうは全6冊で、最後の5・6巻は10月下旬の発売。あ〜〜待ち遠しい。